「日本経済最後の戦略 債務と成長のジレンマを超えて」田代毅

久々の投稿。

最近ネット番組で田中秀臣先生を招いて、その回はかなり盛り上がった感じだったので良かった。

さて、今回の紹介する本はこちら

 山形浩生さんが紹介していたので、ついつい買ってしまった、、、

全体的に要所要所でテーマ研究が紹介されていて、本当に良かった。

債務に関する本は、アデア・ターナーの「債務さもなくば悪魔」を読んだことがあるけど、この本は基本的に日本にフォーカスを当てているため比較的読みやすかったと思う。

著者はハーバード大学でラインハートとロゴフ両教受らと共同研究を重ねた実績があるみたい。

ラインハートとロゴフといえば、債務に関する研究ではフロンティアを走る経済学者である。

まあ、いわゆる「エクセルゲート事件」みたいなこともあったが次に進もう。

 

この本では、経済成長路線と財政健全化路線の両者の主張を研究を示しながら紹介している。

 

どっちかを取る、と言うことではなく二つの路線を両立させようというのが筆者の主張であり至極ごもっともである。

 

経済成長路線派は債務を過度に軽視しがちであり、財政健全主義派は経済成長を無視するような主張を展開している。

 

終盤の章では、債務削減オプションを具体的に提示してくれているが、まあ結局のところアベノミクスをフル回転で進めろということであろう。

 

まあ読んでる限り、財政再建主義派をこきおこすことなく学問的研究を紹介しながら、高尚かつ上品に論破しているところが非常に面白い。

 

三本の矢の財政出動は2013年以降、行われておらず、緊縮傾向になっている。その理由としては、債務に対する過剰な反応、公的債務の累積を恐れるがあまり、財政政策を制約してしまっている。それをポールクルーグマンは「Timidity Trap 臆病の罠」と呼んでいる。なるほど、債務の悪影響はそのように出ているのか、と勉強になった。

 

以上のように、債務に関して様々な見方を提供してくれる良書であった。

 

あんまり、知られていないので是非とも経済に興味がある人は読んでほしい。

 

ゼミの先生に紹介したら、「いい本紹介してくれてありがとう」と言われたくらい。

 

今後も頑張って更新していきます。